ありがとうの庭で咲く花たちへ

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 カーテンを開けた窓から朝日が柔らかく差し込む一階のリビングに、コミュニティラジオの聞き取りやすい爽やかな声が流れてきた。  曲紹介に続くゆったりとしたメロディが、3月のまだ肌寒い朝のはじまりをじんわりと温めてくれる。  「おはよー」  眠気を帯びた声の方に顔を向けると、2階からパジャマ姿の中学生の娘が腕をさすりながら降りてきていた。  「食べ終わったら流してとてね」  「うん」  「あと、お父さんも起こしといて」  「はーい」  クローゼットを開いてかけてあるジャケットを羽織り、テーブルの上に置いてある腕時計をはめる。  家の鍵、車の鍵、スマホを次々と掴んでポケットに突っ込み、仕事へ持っていくバッグを手にとる。  「なんか、早くない?」  紺色のパンプスに足をねじ込む私の後ろから、パンをかじりながら尋ねる娘。  「そう?」  「あ、そうか。今日は」   「じゃあ行ってくるね」
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