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みんな、大人になったなあ。
自分の子どもではないけれど……いや、やっぱり自分の子どもみたいなものだ。
高校生が学校で過ごす時間は、親と一緒に過ごす時間よりも多いかもしれない。
高校の3年間というのは、子どもと大人を結ぶアーチ橋の、ちょうど真ん中に差し掛かった時期だ。
幼さをまとっていた顔つきも、体つきも、心も、たった3年間で随分と成長したように思う。
好き嫌いも、性格も仕草も、考え方も喋り方も、これからの進路も違う、私のこどもたち。
これからその身をたっぷりと輝かせる矢先の、たった3年間しか関わることができないのが、残念で仕方がない。
校長の挨拶が終わる。
式が終わり、体育館の中が喧騒を取り戻す。
教室へと戻る生徒たちの後ろ姿を見ながら、私に残された役目は、彼ら彼女らがこれからの期待と不安の道に向けて歩みだす背中を、ぽんと押し出すことだけだと思った。
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