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娘
桜の花びらが私の頬を擦めた。
「今日で最後なんだな……」
赤いパーカーが映える試合用のユニフォームを身に付け、思い切り自転車をこいだ。
優しい風がサラサラと私の身体をすり抜けて、桜色の絨毯を作っている。
今日は、私が所属するテニス部の試合の日である。三年間ずっと続けてきた。決して強いチームではないけれど、自分たちにできる最大限のことはしようと頑張ってきた。
今日はその集大成ともいえる、最後の試合である。勝っても負けても悔いはない。
なんだか興奮していたせいなのか、セットしていた目覚まし時計よりも先に起きてしまった。
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