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臣人がバーンの隣にやってきて、あぐらをかいて座った。
「最近、少し明るくなったとちゃうか」
「さあ?」
自覚がないのだろうか?不思議そうな顔でバーンを見ていた。
「そうか?わいは変わってきてると思う」
「………」
「昔みたいに人とのつながりを全く!完全に!!否定して、断っていたお前と比べたら、雲泥の差だと思う」
その言葉に昔の自分が甦った。
昔の自分。臣人の言う昔の俺。知り合って間もなかった17才の俺。ラシスを亡くしたばかりの頃は確かにそうだったかもしれない。
自分の周りにいる人間が疎ましかった。
もちろん自分自身の存在も。
こうしてそばにいる臣人も。
何もかもが疎ましかった。
「わいとも会話すらなかったやん」
臣人はビールをすっかり飲みきった。そして、小さなため息をついた。
「劔地たちのおかげかいな。なんにせよ、いい傾向や」
ニヤリと意味深に微笑んだ。本当にうれしそうだった。
バーンは何も言わず、また一口、ビールでのどを潤した。
その様子を横で見ていた臣人が、ちょっと真剣な顔つきになった。
「なぁ、こんな機会、もうないような気がするさかい。さっきの話な、ほんまのこと言おか」
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