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「確かこの辺にクーラーボックスが、」
薄暗がりの中、手探りであるものを探していた。ルームライトはあえて点けなかった。
バーンの雰囲気が穏やかになっていたのがわかったので、それを壊したくなかった。
それに暗闇に目が慣れたのを戻したくなかった。
「!」
ようやく探しものがみつかったらしく、両手に1つずつ何かを握っていた。
「ほらよっ」
手に持っていたもののひとつをバーンに向かって放り投げた。それはきれいな放物線を描いて落ちていった。パシッとバーンは左手でキャッチした。
「ナイスキャッチ!」
と、言うと同時に自分の缶のプルタブを上げた。プシュッと心地よい音がして、臣人はビールを飲み始めた。とてもよく冷えていた缶がバーンの手の中にもあった。
「飲酒運転……」と、ボソッと言った。
それを聞いたもののまったく気にしない素振りで答えた。
「かまへんって。1本だけや。醒めるまでゆっくりしたってええやろ?」
臣人の強引さに少し頭をかかえた。いわゆる計画的犯行が結構多い。
「飲まんのならわいがもらうで?」
缶ビールを持ったまま硬直しているバーンを見ながらさらに追い打ちをかけた。
臣人に飲まれるのは癪だったので、バーンもビールに手をつけた。
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