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だが、今日の彼は少し違っていた。
ほんの少しお喋りになっているようだった。
「おまえ、ホント変なヤツだよな…」
感嘆を込めてそう言った。
「なんやねん。どういうこっちゃ」
眉をひそめながら困った顔だ。
「ん。俺なんかに付き合って…さ」
こんな話、今までにない展開だったので臣人は押し黙ってしまった。
そんな臣人の様子を横目で眺めつつ、バーンも黙ってしまった。
「さっ、最初に言うたやろ、それは。別におまえと一緒におることが好きなんやからええやろ。ったく何を言い出すかと思えば」
怒ったような素振りを見せながら、顔は赤くなっていた。
バーンに背を向け、明後日の方向を見てビールを流し込んだ。
こんな会話になるとは思っていなかったので、夜でよかったと思った。
「いまつくづく最初の印象と違うな…と思ったんだ……」
「そんなんあたりまえやろ。一体、わいの第一印象は、どんなや?」
臣人の言葉にちょっと考え込んだ。
あの当時を想い出してみた。ラシスに連れられて、自分の前に立った臣人を。
「わがままそうなヤツ」
第一印象は確かに最悪だった。
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