GEBO

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何事のなかったような素振りで受け答えをしていたが、臣人は自分の心が苦しくなっていっている気がした。 それを断ち切るように、寄りかかった車体から体を離すと、後方へ回り、バタンッとトランクを閉めた。 「サングラスもしてなかった…な」 その台詞に思わず臣人は、ビールを吹いてしまった。 「ぐわっ!そんな反則な話。わいの素顔知っとるのじじいとお前くらいなもんやで。頼むからそれ以上言うな!」 臣人はグビグビ~ッとビールを一気飲みした。バーンは少し笑ったようだった。 この明るさに何度助けられたか。 寄せる波音が近くなるほどに、水平線の向こうに見えていたイカ釣り漁船の灯りが遠くへと移動していった。 あれだけ明るかった浜辺から光が消え失せ、辺りは再び闇に包まれた。 バーンは足をくの字にして、ひざの上にビールの缶を持った腕を預けた。缶をゆっくりと回し、昔を想い出しながら少しずつ空けていく。彼女と過ごした日々を想い出していた。
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