188人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
旅立ち 6
後輩達との話が長引いた。
別れを惜しんでくれるのは嬉しいことだ。
ただ、彼はもう、教室にはいなかった。
彼の机にあったはずの鞄も何もかもが無くなっている。
もう、遅い。
彼は帰ってしまったのだ。
帰り道、弓道部の同じ卒業生、でもそこまで仲良くはなかった子達と一緒になった。
「私、一ノ瀬くん、好きだったんだよね。」
つい、ぽつりと言ってしまった。
みんな驚いた。
「え⁉︎あの一ノ瀬くんだよね⁉︎」
「矢崎さん仲良かったんだ…」
みんなざわめく。
肝心な人には何も言えなかった。
言えないまま、繋がりは無くなってしまった…。
最初のコメントを投稿しよう!