雲の峰 5

1/1

188人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ

雲の峰 5

学年会が終わった頃には21時を30分程過ぎていた。 職員室に戻ると、1年と2年の先生達はもう帰宅していた。 「仕事は好きだけど、このブラックな環境どうにかならないんかね。」 安達先生がため息をつく。 「ブラックでも仕事が好きだって言えるだけマシじゃない?」 美和も安達先生も気楽な独身だ。 2児のパパの宮城先生、3児のママ遠藤先生はものすごい勢いで帰っていった。 「私達も帰ろうか、安達先生」 学校の駐車場で安達先生と別れ、美和は車に乗り込んだ。 修学旅行まであと1週間。 準備が忙し過ぎてすっかり忘れていたけど。 東京にはあの人がいるはずだ。 人が沢山いる街だ。ばったり会うなんてことはないだろう。 それでも少し、美和は期待してしまっていた。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

188人が本棚に入れています
本棚に追加