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雲の峰 5
学年会が終わった頃には21時を30分程過ぎていた。
職員室に戻ると、1年と2年の先生達はもう帰宅していた。
「仕事は好きだけど、このブラックな環境どうにかならないんかね。」
安達先生がため息をつく。
「ブラックでも仕事が好きだって言えるだけマシじゃない?」
美和も安達先生も気楽な独身だ。
2児のパパの宮城先生、3児のママ遠藤先生はものすごい勢いで帰っていった。
「私達も帰ろうか、安達先生」
学校の駐車場で安達先生と別れ、美和は車に乗り込んだ。
修学旅行まであと1週間。
準備が忙し過ぎてすっかり忘れていたけど。
東京にはあの人がいるはずだ。
人が沢山いる街だ。ばったり会うなんてことはないだろう。
それでも少し、美和は期待してしまっていた。
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