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未来 10
「…で?恵比寿で何があったのかな?矢崎先生?」
遠藤先生の小声がやんわり響く。
温泉旅館の廊下の隅の休憩スペース。
噂を聞きつけた島津先生も安達先生もちゃっかり揃っている。
「時間潰しに歩き回ってたら足が疲れて…ベンチで座ってたら変なのに絡まれまして…」
「「「うん」」」
「困ってたら、通りすがりの人が助けてくれました。」
「「「うん」」」
「…えっと、そんだけです。」
「……え⁉︎そんだけ⁉︎」
遠藤先生が肩をガクッとする。
「無事に帰って来れました」
「いや無事なのは大事だけど」
「何か空気が違うんだよね、矢崎先生」
島津先生が斬り込む。
「その通りすがりの人とはどうなったの?」
「お礼を言いました…」
「お礼言っただけ?」
美和が目を逸らす。
「今目ぇ逸らしたよね?」
安達先生も斬り込む。
「…その通りすがりの人、高校の同級生でした。」
「「「あら…」」」
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