二人の明日 9

1/1
189人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ

二人の明日 9

午前10時に駅に着いた。 美和の住んでいる市は新幹線が止まる。 新幹線の改札口の近くで、彼を待つ。 改札の向こうに彼の姿が見えた。 二人は合流しても、言葉がしばらく出なかった。 「……会いたかった」 「……俺も」 美和は一ノ瀬の服の裾を掴んだ。 一ノ瀬は美和を抱き寄せた。 「…一ノ瀬くん…。」 「…ん?」 「ちょっと…視線が痛いです…」 通行人が抱き合う二人に向かって無遠慮な視線を投げかけていた。 そっと体を離し、手を繋いで歩き始めた。 行き先は美和の家だ。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!