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二人の明日 11
チャーハンはすぐに出来上がった。
「すごい…めっちゃうまい…」
「でしょ」
照れ臭さをドヤ顔で誤魔化す。
一ノ瀬は2回おかわりをした。
早々に食べ終わり、食器は一ノ瀬が洗っている。
美和は洗い終わった食器を拭いていた。
二人並んでキッチンに立っているのが何とも不思議で、美和はふふっと少し笑った。
「なあ、美和ちゃん」
「ん?」
「俺達、本当に結婚しないか?」
「…!…わわっ!」
美和は皿を落としかける。
「一ノ瀬くん、今…」
一ノ瀬の顔を見上げる。
彼の顔は真っ赤だった。
「誠って呼んでよ。美和ちゃん。俺と、結婚してください。」
美和は今度は皿を置いた。
「誠くん…私でいいの?」
「美和ちゃんが、いいんだ。あの時は…美和ちゃんを連れて行けなかった。でも今なら…。俺に、ついて来てくれないか?」
美和は抱きついた。
誠も、美和をきつく抱きしめた。
「よろしく、お願いします」
誠の腕の中で美和は誠の匂いを感じた。
それはとても、安心する匂いだった。
fin.
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