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蝉鳴く頃 4
「目って本当に丸くなるんだな」
一ノ瀬はまだ笑いを堪えている。
「………びっくりした…」
目をぱちぱちさせて、やっとのことで美和は声を出した。
「いつから座ってたのよ…?」
「いいなぁ…って声に出してた辺り?」
聞かれてた⁉︎
恥ずかし過ぎる!
「勉強投げて遊びに行きたくなった感じ?」
「そうじゃないけど」
リュックからおもむろに勉強道具を出している。
「ん?えっと…?」
「俺もここで勉強する」
「…へ?」
問題集と辞書を置き、あっという間に始めてしまっている。
すぐに集中できる人なのか。
もう美和のことなど気にしていないようにも見える。
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