蝉鳴く頃 4

1/1
前へ
/142ページ
次へ

蝉鳴く頃 4

「目って本当に丸くなるんだな」 一ノ瀬はまだ笑いを堪えている。 「………びっくりした…」 目をぱちぱちさせて、やっとのことで美和は声を出した。 「いつから座ってたのよ…?」 「いいなぁ…って声に出してた辺り?」 聞かれてた⁉︎ 恥ずかし過ぎる! 「勉強投げて遊びに行きたくなった感じ?」 「そうじゃないけど」 リュックからおもむろに勉強道具を出している。 「ん?えっと…?」 「俺もここで勉強する」 「…へ?」 問題集と辞書を置き、あっという間に始めてしまっている。 すぐに集中できる人なのか。 もう美和のことなど気にしていないようにも見える。
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加