蝉鳴く頃 8

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蝉鳴く頃 8

「そんなに聞いても何も出ないよ。ただばったり会って、ちょうどご飯どきだっただけで。」 「ふーん…つまんないの。」 香織が不満気に口を尖らせる。 「それよりさ、香織。明日だよね?オープンキャンパス」 香織は別の大学が第一志望だ。 でも、美和の志望している地元の教育大にも興味があるらしく、明日のオープンキャンパスには一緒に行く約束をしていた。 「ああ、そうだったね。朝早いよね…」 「まあまあ遠いからね。」 「電車とバス乗り継いで1時間半…。30分前には着きたいから…」 「10時開始だと…?」 「駅に8時集合?」 「かな。美和は高校行くのとあんまり変わんないかもね。」 香織の通うN高は美和達の地元では自転車通学をしている人達が多数はだ。 香織も勿論自転車派だ。 「どうだろね?田舎だからバスの本数少ないとか…あったら困るなぁ。」 「何とかなるでしょ」 話し込んでいるうちに、世界史の講義が始まった。
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