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解夏 4
予備校から出ると、生ぬるい風を感じる。
歩道橋を歩いている美和には花火がよく見える。
ドォン…ドォン…
足を止めて花火に見入る。
ドォン…ドォン…
花火大会か…一緒に行く人もいなかった。
勉強にかまけて恋愛をおろそかにしてきたのは自分だ。
受験生という言葉は便利だ。
余計なことを考えずに済む。
香織の様に恋愛もして、勉強もして…そんな生活、出来たら良いなとは思う。
でも自分が両方出来るとはとても思えない。
自分がそんな器用な人間では無いということは、美和自身良く分かっていた。
美和と同様、花火大会に行かなかったと思われる人達は足早に美和の横を通り過ぎていった。
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