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色なき風 5
予備校の帰り、いつものように香織と本郷亭に向かった。
本郷亭特製冷やし中華は限定100食で美和は夏休み中に食べることが出来なかった。
他のお客さんは夏の終わりを感じているからか、今日は冷やし中華の食券を手に入れることができた。
香織とお喋りをしつつ、美和は冷やし中華を堪能していた。
「……で?美和サン?」
「うん?」
「何かあったよね?」
美和の顔が強張る。
「んー…特に…」
「じゃあ何でそんなアンニュイなのかしら?」
「アンニュイって…」
「この香織サマの目を誤魔化せるとでも?」
「ゔっ…特に…言う程のことは…」
「あるでしょ。吐くまで帰れないわよ?」
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