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風花 1
「ねぇ矢崎さん」
「ん?あぁ、田中さん…」
お互いの属するグループは全く違うので、声を掛けられること自体が珍しい。彼女はギャルグループだ。
「一ノ瀬くんと、どうなの?」
目を見開く美和。
「どうなのって…」
「こないだ手繋いでるの見ちゃったのよ」
田中さんはニヤニヤして言う。
あれから美和は一ノ瀬と定期的に会っているわけではなく。
でも予備校で偶然会うと話すしご飯も一緒に食べるし、一緒に自習室で勉強することもある。
歩く時に手を繋いでいることも、ある。
美和は嫌じゃなかった。
好きかどうかと言われたら、好きなのかもしれない。
ただ、一ノ瀬から「付き合ってほしい」とか「好きだ」とか、決定的なことを言われた訳ではなく…。
「うーーん…」
「付き合ってるの?」
「…わかんない…」
「えっ…?どういうこと?」
「んー…わかんないとしか…」
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