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風花 3
ほっといて欲しい。
そっとしておいて欲しい。
そんな言葉が浮かんだ。
田中さんの後ろ姿を見ながら美和は窮屈さを感じていたら。
私には、私達には…
私達のペースがある。
ただ…
もうすぐ12月。
年明けには共通テスト。
私大入試の後には二次試験。
その後には卒業式があって。
私は地元しか受けない。
彼は関東しか受けない。
卒業したら離れ離れになるのは確実だ。
その先は?何も見えない。
この関係をはっきりさせるのが怖いのは、その先が怖いから。
彼がはっきりした事を言わないのは、きっとそこに理由がある。
先延ばしにしてはいけない。
わかっている。
でもまだ、私は今のままでいたい。
そう思うのは、いけないのだろうか。
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