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風花 9
「えっ?ちょっ…一ノ瀬くん…⁉︎」
美和は慌てるが、一ノ瀬の腕はびくともしない。
周囲の視線は2人に集まる。
「一ノ瀬くん!ちょっと!ここ予備校だってば!」
美和の必死な小声の抵抗。
一瞬、腕の力が緩む。
一ノ瀬の腕からすり抜けて美和は無事に自分の席へと逃げ出せた。
まだ顔が赤い。
一ノ瀬はぼんやりしている。
「…?美和ちゃん…?顔赤いけどどうした…?」
「一ノ瀬くんのせいでしょ⁉︎」
小声で怒鳴るとは、不思議な状態だ。
「美和ちゃん終わった?」
「うん。今日はもういいかな。」
「行こうか。」
勉強道具を片付けて、手を繋いでカフェスペースを出た。
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