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風花 10
外は寒い。
もう制服にセーター、マフラーだけではかなり寒い。
晴れているというのに雪が舞っている。
美和は空を見上げていた。
「風花…だな」
「かざばな?」
「さっき過去問に出てきてさ。冬の季語で、今みたいに晴れた冬の日に舞う雪のことを言うらしい。」
「…確かに、花が舞ってるみたいね。」
「…なあ。やっぱり地元しか受けないんだよな…?」
「…うん…。」
ここ最近、何度もした会話だ。
お互いの受験する大学の場所が遠く離れている。
それが何を意味するのか。
問わなくても分かりきっている話だ。
「…美和ちゃん、連れて行けたらいいのにな。」
「うん…。」
風花は、手を繋ぐ2人に降り注いでいた。
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