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何事も無かったようにその声を無視し、小走りに自動販売機に向かう。
はぁ? 何て言った? 平田、今、何て言った?
自動販売機でボタンを押し、水を取り出す。
確か平田、ーーーって言ったような……。
「シオリちゃーん!」
振り向くと興奮した顔で優子が立っていた。
「やばかったですー! ひかる様、ミカるんパワーって、言ってくれましたー」
「優子、ちょっと、平田がやばい。酔っ払ってる」
「えっ? 平田君が?」
「来て」優子の手を引き平田の元に向かう。
地面に座って壁に寄りかかり、目を閉じている平田は明らかに気分が悪そうだ。
「ええっ! 平田君顔が真っ赤です! どうしたんですか? ん? あっこれ、お酒……」
優子は平田の足元に転がっている、【ほろよい】と書かれた空き缶に目を移した。
「平田、これとソーダを間違えたらしい。ほら、これ、水」水滴がつき、ひんやりと冷えたペットボトルのキャップを外し、平田に手渡す。
「あっ、ありがとう」
平田は受け取った水をゴクゴクと飲んでいく。
「うっ、うっ、気持ち悪い。吐きそう……。ぼっ僕、ト、トイレ行ってきます。す、すいません」
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