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「顔、赤いの直ってるけど、次は青白いね……」優子が心配そうな顔をしながら言った。
「平田、家、近いの?」
「あっ。はっはい。ここから歩いて三十分くらいです……」
優子と顔を見合わせた。
この状態で三十分も歩くと平田は倒れるに違いない。
「平田君、私達、タクシー乗るから、家まで送るよ。ママからタクシーチケットもらってるし」
「えっ、いやっ、大丈夫です。うっ……」
その言葉とは裏腹に、口に手を当てた平田は今にも吐きそうだ。
「とりあえず、タクシー乗りなよ。倒れるよ」
「す、すいませんっ」
「全然良いよ。今日はひかり様にお会いできましたし、それは平田君のおかげですし……。そのお礼です。さっ、行きましょう」
***
「この道をまっすぐ行って……。はい。あっ、この辺で……。す、すいません。」
タクシーのドアに身体を預けていた平田はドアが開くと同時に体勢を立て直し、素早く外に出た。
そして持っていたミカるんの袋に顔を突っ込み、吐いているようだ。
「大丈夫平田君?」
優子が少し開かれたドアの隙間から覗いた。
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