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あからさまに軽蔑した表情。
「うん? シオリちゃん? えっと、どうしたのかな……?」
先生は気味の悪い生物を見るような目で私を見る。
「えっ、ええっと、じゃあ、今日はこれで……」
そう言って先生は持ってきていた自分のノートとペンを無印のトートバッグにしまい、急いで立ち上がり、部屋のドアを開け、廊下を早歩きで歩いていった。
先生が廊下を歩く音は、いつもより早く、だんだんと、ここから遠ざかっていくのを感じる。それにつれて私の鼓動も早くなっている。
ねえ? 先生、なんで?
デスクの上の分厚い青い問題集。
チーズケーキを食べた後の、チーズがちょっとだけついた、白い皿と青いコーヒーカップが、先生がさっきまで、ここにいたことを実感させてくれる。
虚しい。
「シオリー! 先生が帰られるわよー! もう、あの子ったら先生、今日で最後なのに。ごめんなさいねー先生」
母親が呼んでいる。
私は立ち上がり、先生と母親が待つ玄関に向かった。
「先生いなくなると寂しくなるわねー。大丈夫かしらシオリ……」
「あっ、シオリちゃんは大丈夫だと思います。今まで本当にありがとうございました」
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