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声を出した男の子の手元を見ると、赤い輪っかになった紐を手に掛けて形を変えて遊んでいる。
あやとりだ。
小学生の頃、昔の遊びをしてみようという授業があって、それにあやとりがあったことを思い出した。一本の紐を指にかけたり、かけなかったりして形を変えて遊んでいく。
電車がホームに到着し、電車に乗り込む。反対側の方の乗降ドアの前に立ち、外を見た。
発車と同時にドア越しに見ていた風景が遠ざかって横に流れていく。
鼓動が早く鳴る。
早く、終わらせなきゃ。早く、確かめなきゃ。
流れていた風景が電車の走行速度が遅くなるに連れて、ゆっくりと止まっていく。
駅に着きドアが開いた。二十代くらいの男女が手を繋ぎながら電車に乗ってきた。
あの人達だって、本当は異常かもしれないじゃん?
ドアが閉まり、再び電車は発車する。
そう、そうだよ。私は何もおかしくない。
さっき見た男の子がやっていたあやとりが頭に浮かんだ。
あやとりと同じ。
皆、あやとりみたいな、一本の線を持っていて、その指の掛け方が違うだけ。
同じものでも、指の掛け方が違うから形が違って見えるんだよ。
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