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至って普通で、平均的なその他のグループ。
そして平田と安内みたいに皆からちょっと下に見られている二人。
この教室内はこんな感じで成り立っている。そんなことを考えていると始業のチャイムが鳴った。
いつも通り、均一で、つまらない、音色だ。
***
「シオリ、今日先生にイチゴのタルトケーキを出そうと思うんだけど、先生、甘いもの嫌いじゃなかったわよね?」
「えっ?」
スマホで見ていたユーチューブの停止ボタンを押し、私は顔を上げ、私の母である相原玲子を見た。
私の父親、相原仁志は、私が高校に入学してから上海に単身赴任中だ。
そのため、現在、母親と私の二人暮らしである。
「先生、甘いもの大丈夫だったわよね? 今日ケーキ出そうと思うの」
母親はケーキを載せた皿を私の方に向けて見せた。
白いシンプルな円形の皿に載せられた、赤いストロベリーのタルトケーキ。
白と赤のコントラストと突き出した苺の、その隙間なく寄せ集められた姿になんだかゾッとした。人の欲が寄せ集まったらこんな感じになるのかもしれない。
「うん。先生、前にケーキが好きって言ってた。チーズケーキが好きなんだって」
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