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「すみません、引き取って貰いたい人形があるのです……ここならどんな物でも引き取ってくれると聞いたので……」
不安げな面持ちの男性客はげっそりとしている以上……憔悴しきっているようにも見える。
その手に抱えているのは口振りからして人形なのだろうが、綺麗な布に丁寧に包まれていて売りたがっているにしては丁寧すぎるほどの扱いだ。
だが抱える手は窶れているせいか骨が浮き出て見え、肌は病的に白く小さく震え顔は青ざめ目の下には色濃い隈、その姿は何かに脅えているようにも見える。
その様相に少し戸惑ってしまう。正直骨董品店に来る前に病院に行って健康診断を受けた方が良いように見えてしまう程だが相手は客だ。とりあえず話を進めよう。
「ああ、はい。ウチは確かに何でも引き取りますよ。店主は今不在で自分はアルバイトなので見積もりなどは多少かかりますが……」
「見積もりなんて結構です、無償でいいので引きとってください……お願いします……」
そう捲し立てると男性客は布に包まれた人形を瑞希の手に押し付けるように渡して涙を零し始める。
「え、いや、あの、ちょ……ちょっと待ってください、せめてお話だけでも!とりあえずこっちに来てください!」
こんな所他の人に見られたら変な噂が立ちそうだ。とりあえず彼を店内に引き入れ、座らせてお茶をいれる。
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