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自室へ戻り、荷物を放り出して、ベッドに座る。
制服を着ている自分を見下ろし、似合わないと思いながら溜息を吐く。
雑に扱いそうになるのを堪えながら、ジャージに着替える。
親の前では女の子らしい口調を心がけている。
伸びをして、椅子に座る。目前の棚には教科書の他に、文字がびっしり書かれたプリントが覗く。
パソコンを立ち上げ、ネットで調べた部品についての情報を確認していく。写真と部品解説を何度も見比べる。机の傍らにある中くらいのバックから、引き金が撃鉄を倒すという一つの動作しかしないことからそう呼ばれる、シングルアクションのモデルガンを取り出す。慣れた手つきであるものの、雑に扱う様子はないので、大事なものだということは分かる。BB弾を込めず、発砲の手順を確認する。実際に試した後、資料を確認して、覚え間違いがないことを理解して安堵する。
そのとき、ノックの音で現実に引き戻される。
「榴、入るぞ」
「父さん、おかえりなさい。部屋にくるなんて珍しい」
「ただいま。たまには娘の部屋に顔を出してもいいじゃないか」
「悪いとは言ってない。そういえば今日、学園長先生から本物の銃器を扱えるようになったら、学校の用心棒をしてほしいって言われた」
「そうか……。榴はどうしたい?」
その言葉を受け、彼女は思案する。
「知識を深めていくだけで満足するかと聞かれると、そうじゃない気がする。もし、実際の銃器に触れることができるのなら、やってみたい」
「じゃあ、榴に本物の銃器が扱えるように、それと必要なこともしっかり指導してやるからな。来週の土曜日から訓練開始としよう」
「お父さん、元自衛隊員だもんね! できるだけ必要なことを覚えておくよ」
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