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それから学園長に、今回の話を受けることを伝えた。彼女は以前にも増して知識を蓄えることに熱中していった。実際の銃器を扱うときに困らないようにと、翌日に支障をきたさない程度まで睡眠時間を削ることも増えた。それでも、榴は疲れを感じていなかった。
この日のお昼休み、榴は図書室内に設けられたいくつかのテーブル席の端を陣取って、銃器の資料を書き写していた。
「ねえ、最近ちゃんと寝てる?」
そう声をかけたのは、同学年で彼女の唯一の友人であり幼馴染の玲衣である。彼女と同じように制服を着ているが、髪は茶色で腰までのロングヘアーだ。二冊の本を抱えている。
「寝てるよ。どうしてそんなこと聞くんだ?」
作業を続けたまま、榴は首を傾げる。
「授業中だけじゃなくて、休み時間が短いときも寝てるじゃない。ちょっと前は、暇さえあれば読書したり、そういうことしてたのに」
言いながら、銃器の資料を指差す。
「それくらい、いいじゃないか。少し寝た後の方が集中できるんだよ」
「そう。でも、無理しすぎちゃダメよ!」
屈んで榴を見つめる。
「ねえ、自分のこと、ちゃんと分かってる!? 今のあなたはそんなことして平気な状態じゃ」
「分かってるさ。自分のことなら嫌というほど」
溜息混じりにそう言って玲衣を見つめる。
「心配してくれてありがとう。私は大丈夫だ」
「そっか。じゃ、またね」
安心させるかのように微笑む彼女を見た玲衣はそう言い、図書館を後にした。
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