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ぼんやりと流しっぱなしにしていたラジオニュースから聞こえた「夏休み終盤」という言葉で気づく。夏の盛りも傾き始めた頃だ。
仕事から帰るのは深夜遅く。常に光のある町中で時間感覚を喪った蝉の声が、近くの電柱からギコギコと独り聞こえてくる。
私はアパートのポストに詰め込まれた郵便物の狭間に、一通の封筒を見つけた。
ダイレクトメールや関係各所からの長い封筒の中で、その片手大の白い封筒は、ほの淡く灯っているようにも見えた。
SNSが交流のメインツールとなって久しい今、わざわざ手紙を出してくる理由はあまりに意味を持ちすぎて、一周回って推し量ることができない。
だが。
くるりと返して見えた差出人を見て、私は不思議と「なるほど」などと頷いてしまったのだ。
差出人の名前は久しぶりに目にする形だった。
一年前の夏だった。
友人は、故郷から遠く離れた海で、自ら沈んだ。
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