僕は主人公

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ぼくのことがきらいって、だれかがいってた。 ただただめぐまれただけの、ぼんじん。 とりあえずのいけめん。とりあえずのつよさ。とりあえずのかしこさ。 まわりにもちあげられただけ。 ぼくもはじめはこうじゃなかった。 かおもそんなによくなかった。つよくないし、かしこくない。 いつからかえられたんだっけ。 わすれたなあ。 そのほうが、みんなにすかれるとおもったのに。 かっこいいじぶんになれるとおもったのに。 しゅじんこうであれるとおもったのに。 まわりのやつがきらいって、だれかがいってた。 しゅじんこうをもちあげるだけの、ギミック。 ありがちなあいぼう。ありがちなヒロイン。ありがちなライバル。 はなしをまわすだけのピエロがいっぱい。 そんなつもりじゃないんだよ。 みんなひっしにいきていた。ギミックじゃないし、ピエロじゃない。 がんばってたんだよ。 そうはみえないんだろうけど。 みんないいひとたちだったのに。 たいせつなひとたちだったのに。 なかまだったのに。 あくやくがきらいって、だれかがいってた。 しゅじんこうにひとつもかてない、けっかんせいひん。 しんねんのないあく。つらぬきとおさないあく。かっこよさのないあく。 わるぶってるだけのこどもみたい。 かれもいろいろかんがえてたんだよ。 つらいかこがあった。ゆるせないもの、こわしたいせかい。 かれはとってもがんばってた。 ただまけるためのひとじゃなかった。 つよかったよ。かっこよかったよ。 がんばってたよ。ただしかったんだよ。 だいきらいでだいすきなぼくのてき。
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