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行ってきてよ。
そしてやってきた福岡へと出発する日の朝、芽衣は真子の部屋をノックした。
「真子様!出発の時間です。」すると、真子からは思いがけない言葉が返ってきた。
「あのさー、めんどくさいからあなたひとりで行ってきてよ。」
「え…それはさすがにまずいです。お父様にバレてしまいます!」
「父はちょうど今日から3日間出張でいないのよ。バレる訳がないわ。」
「そ、そんなぁ…。」
そして、なぜか芽衣がひとりで博多旅行をすることになった。芽衣としては、社長にバレたらまずいという不安で、とても旅行を楽しめそうにない。「私は社長に嘘つくなんて出来ません」と言ってみたものの、真子は頑固で一度強い口調で喧嘩腰になると絶対に引かないので、もはや行くしかない。芽衣はひとり東京から博多行きの飛行機へと乗った。
2時間ほど飛行機に揺られると、博多に到着した。そこからバスで宿泊先のホテルへと向かった。
ホテルに着くと、芽衣はぐったりとベッドに横たわった。
「なんで私がひとり旅しているのよ…。」
愚痴る相手もいないため、芽衣はひとり言が増えていることに気がついた。ホテルの部屋の天井が、やけに暗くかすんで見える。
「まあでも、せっかく来たんだし、博多を楽しんで帰るか…。」
芽衣は無理に心のスイッチを切り替え、行くとこリストにあった通り、様々な飲食屋台が立ち並ぶ「中洲」へと向かった。
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