真子お嬢様のゴールデンタイム

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真子お嬢様のゴールデンタイム

 「やっとひとりになれたわ。」そう呟くと、真子は思い切りベッドにダイブした。  「まったく、父さんも勝手だし、家にはいつも召し使いがいて鬱陶しいし、たまったもんじゃないわ。」真子は誰もいなくなった家中に聞こえるくらいの大声で叫んだ。  真子は22歳で現在大学4年生。父の隆志は会社を経営しており、後継は兄の宏樹が務めることになっている。しかし、隆志は結婚についてとても干渉してくる父親で、将来は儲かっている会社の社長と結婚するように勧めてくる。  今回は福岡の清酒メーカーの次期社長を紹介されたのだが、全く乗り気になれなかった。挙げ句の果てに飛行機のチケットを渡されて一度その社長に会ってくるように促されたのだが、一度断ったら今度は召し使いを使い、「福岡まで一人旅をしてこいと言っておくように」としつこく迫ってきて面倒くさいため、代わりに召し使いに行かせることにした。  真子が高校生になった頃から家に来るようになった召し使いが、真子には鬱陶しくて仕方なかった。食事の支度や身の回りのことをやってくれるのは助かるのだが、父が直接言えないことを召し使いを介して言われることが多くなり、とても腹立たしかった。そのため、真子は召し使いにはいつも強い口調であたっていた。  召し使いが帰ってくるまでの2日間、真子は自由気ままに過ごした。昼頃起きるとスナック菓子を食べながらゲームをやり、夜はカップ麺を食べてから深夜まで漫画を読んだ。  「うるさいふたりがいないとこうも自由なのね。もう帰ってこなくていいのに。」そう呟くと、目覚ましもセットすることなく、眠りについた。
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