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一言目、開幕。
ルヴェニア大陸にはある言い伝えという名の噂がある。これはその中の一つ、特に多く恐れられ、同時に信じられているもの。
人里離れた場所に黑の森、と呼ばれるあらゆる植物も動物も黒っぽくなっている黒一色の森。用がないのなら黑の森には近付いてはならない。あそこは呪いと悪魔の棲む森。
そこには決まった文言を大声で叫べばそこに棲む黑の魔女と呼ばれる者が望んだ呪いを掛けてくれる。黑の魔女は何の為に、何を理由にそうするのかは誰も知らない。
けれど、忘れてはならない。人を呪わば穴二つ……呪いを願った者が無事ではいられない。相応の対価を魔女に支払わねばならない。
そして同時に、森に棲むのは呪いをかける魔女と、悪魔と呪い。心優しき者などそこにはいない。
対価に慈悲はない。だから黑の森に呪いを求めていくのなら、全てを捨てないとならない。命も含めて、全て。
魔女に語り掛ける文言は記しておくが、簡単に森以外でも唱えてはならない。魔女が取り立てに来てしまう。
そうやってルヴェニア大陸の多くの人間に幼少期から言い聞かされる。
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