一言目、開幕。

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近くの椅子に腰かける魔女。椅子に登るのも一苦労で、魔法で浮いてやっと座ることが出来たのか少し溜息を吐く。 足首まで伸びた紫交じりの黒く長い髪は滑らかで、2箇所だけ細い三つ編みにして丸く円を書くように耳の付け根辺りの後ろ髪に止められている。 そして人にはない長く尖った耳に陶器のように真っ白で滑らかな肌は人間とは思えぬ美しさ。唇は小さくもふっくらとしてその白さを際立てる様な桜色をしている。 青く澄んだ右目に赤く艶やかな左目……どちらも大きくクリクリとした幼さが残る丸みを帯びて少し垂れた形が気弱そうにも見せている。 足の付け根近くまである長い黒い靴下に足首をすっぽり覆うようなローヒールのショートブーツ、黒いフリルや金色の装飾があしらわれた黒基調のふわふわとした緩やかでふっくらとした造形のミニドレスに、同じようなデザインのアームウォーマー。 そこに佇む魔女は……服装もあるのだろうが、あまりにも幼く可憐な10歳ちょっとの少女にしか見えない幼い顔立ちをしていた。 その姿は言い伝えで恐れられていそうな魔女には見えない。
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