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彼女は憂いげに小さく息を吐き瓶を眺めている。その姿すら絵になる様な愛らしさを持っている。
「なんでそんなに憂い気なんですかレティシア様、久々の呪い事じゃないですか」
「私はあまり人を呪いたくないの、ファート……」
「ダメですよ、レティシア様。貴女は由緒正しい黑の魔女の家系……それも直接の子に当たります。貴女がここで呪うのを辞めてしまえば黑の魔女の家系は途絶えてしまうのです」
憂いげに呟く幼い魔女……レティシアを叱り飛ばす鴉。この鴉は長らく黑の魔女に仕えてきた使い魔のファートだ。
「わかってるけど……皆命を軽く考え過ぎなのが嫌なの。私が言っても説得力も無いでしょうけど」
「レティシア様、貴女はあの素晴らしき大魔女……レヴェッカ・シプシー様の実子なのです。魔女集会で嫌われていようと貴女の魔法、呪い、力、あらゆる面において一流のものをお持ちなのですよ」
そのままファートはレティシアの周りを飛びながら懇々と黑の魔女の歴史について語っているがその姿をレティシアは少しうんざりした顔で眺めていたのだった。
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