鈴の決意

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鈴の決意

---- バカメルヘンな部屋に俺たちは居る。 でも誰一人として言葉を発しない。 不安に思ってることを口にすれば、現実になってしまいそうだから。 朝の7時のニュース 速報で流れた 『如月財閥の一人息子である如月冬馬容疑者(22)は、激発物破裂罪と殺人容疑で現行犯逮捕されました』 その文字が流れてきて、全員がテレビを見た。 この部屋にいるのは俺たち4人と 昴さん達3人 病院には志木さんと杏が運ばれた。 俺たちの目の前を救急車が通り過ぎる。中に乗ってるのは杏だとすぐわかった。 どんな怪我かも見ていない 会えなかった 泉が付き添っているらしいが…… 『杏の意識が戻らない。このまま緊急手術らしい』 そう知らせが届いた。 手術しなけりゃいけないほどの怪我。 一体何があったのか分からない。 わからないから悔しい。 そして不安だ 救急車が病院に向かって、サトルと水瀬はすぐに警察に取り押さえられていた。 何も状況がわからないまま、目の前で大きく状況が変わっていっている。 「お前ら家に戻れ。ここからは大人の出番だから。俺は少しの間は戻れないかもしれないが、組のやつもいるから」 雄作さんにそう言われて、組の人たちに杏の家まで送られた。 妹はどうなったか。 サトル達はどうなるのか。 ただ雄作さんが言うに、婚約者の大々的な逮捕があれば、明日の誕生日会も中止だろと言った。 妹は……どうするんだろう。 杏は…大丈夫なのか? 頭の中で考えても何も進まなくて、俺たちにできることはもう無かった。 「志木は手術終わったみたい」 沈黙が続いた中、昴さんが携帯を見て声を出した。杏よりも早く病院に運ばれて、すぐ手術だったみたいだ。 「意識は?あるん?」 「うん、本人から連絡が来たから」 あんな死にかけていたのに、志木さんの生命力は本当にすごい。 「杏のこと……知らないみたいだ」 志木になんて伝えればいいんだと昴さんは頭を抱えた。 泉と同じで、その場に入れなかったことを悔やむだろうな。 そうなれば、傷が悪化してしまいそうだ。 「泉が話すよ。きっとね」 慧は困った顔をして笑った。 そうだな… 泉が志木さんにちゃんと話してくれる
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