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岩見の計画
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先手は取った。
烈火の幹部が珍しく1人の女の所へ通った。
だから岩見さんは、その女を拉致って、決められた抗争の日よりも先に、仕掛けることになった。
そこまではよかった
順調だった
俺は、今年黒蛇に入った
本当は烈火に憧れていた。だけど蕪木先輩の目に止まらなかった。
誰でわも入れるわけではない
だから対抗できる黒蛇に入った
憧れとは時に、憎く見えたりする。
戦ってみたい。蕪木先輩が作ったチームに対抗できるチームを作りたい。
そんな風に思った
俺にとって初の抗争
汚い手を使うことにも慣れてしまった
かっこいい不良に憧れてた
自分の仁義を貫くかっこいい人に
でもそんなのは夢で終わった。
ただ今日ここで、烈火とやり合うことを楽しみにしていた。勝って、黒蛇上だと証明したかった。
けど
目の前で広がる光景に唖然としている。
想像よりも早く倉庫の場所は特定された。
一台の車と
その後ろにバイク
俺たち黒蛇と比べればかなり少ない。
けど、ものすごい威圧感
車の中には、総長と幹部、それに、噂の女。
総長が運転してる時点でおかしいだろう。誰かがしろよ。きっとそう思うのが普通。
車の免許は18歳なってから。
だから烈火は高校卒業するまで、車に乗らないと誓っているらしい。
このご時世、無免許なんて多い
黒蛇だって、しっかりバイクの免許取りに行ってる奴なんて少ないかもしれない。
でも烈火ではそれは許されない。
いや、それはわかるけど、それをちゃんと守るのも不思議
総長の蕪木先輩の教え
その総長が運転する車の中にいる女は、最近もっぱら噂になってるヤバい女。
噂を聞くだけで会ったことがなかった。
そして見てびっくりした
普通の女の子だったから
こんなただの女の子を警戒してるなんて、どうしてだろうか。
なぜ岩見さんも警戒してたんだろう。
俺を含め、女に会ったことなかった奴らは、そう思ったはず。
けど違った
窓から身体をだして、ゆるゆる動く車の屋根の上に登る。
その一連の動きをボーっと見ていた
『自らボコボコにされる日を早めて、ご苦労さんやな!』
聞き慣れないイントネーション
そして、こちらを指差して煽る言葉。
腰に手を当てて車の上に立ちそう叫んだ。
なんなんだ、この女は
そう思うことしかできない
煽り、俺らを見て雑魚と言った
この人数に対して、今いるのは3人だぞ?
勝てるわけない
勝てるわけないだろ?
『突っ込めー!』
女の声と共に車は急発進する。それを合図にクルリと回って地面に着地。
車は総長達がいる倉庫の方へ猛スピードで突っ込んでいった。
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