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そしてここに残されたのは女1人
着地してピクリとも動かない
それを見て、驚いていたメンバー達も、今だとバッドを振り上げた。
加減しないと…
危ない。そう思ってしまった。しゃがんだまま地面を見る女
なんの抵抗もしてない。そこに、バッドが振り下ろされる。
目を逸らしそうになった
まだ慣れていない、人がバッドで殴られるところ。
そしてそれが女の子だなんて
そう思ったけど
敵の俺らが心配するのはそこじゃなかった。
振り下ろされたバッドを片手で受け止めて女は笑った。
『女の子の用意ができるまで、男は黙って待つもんやで』
女の声はよく通る声で、全員が聞こえたんじゃないかってほど。
振り下ろされたバッドを引き、メンバーから奪い取り、バッドをくるくると器用に回した
『さ、どっからでもかかってきぃ』
余裕そうに笑って見せる女
俺は足が動かなかった
一斉に周りが動き女に飛びかかるが、まるで周りに結界でもあるのか?って思うほど、当たらず、返り討ちにあう。
一本バッドを奪って、それで全員を相手にする。
「岩見さんの方に行け!」
幹部の1人が声を出す。
そうだ、岩見さん達がいる倉庫の方に烈火の総長と幹部がいったんだった。
この女1人に人数を取られてる場合じゃない。
『おっと?あんたらの相手はあたしや。あたし1人くらい、倒してから行ったら?」
あくまでも挑発的な態度
そして俺たちは、そういう煽りに弱い
この1人をどうにかすれば
そう思うのに
あまりにも強い
後ろに目でもついてるのか
どうすればこんな動きになるのか
わからなかった
そして何より女は、奪ったバッドは、ガードや受け流す時にしか使わない。
俺たちは攻撃に使うのに
防御のみに使いそして
自分の拳と脚で、俺たちを圧倒する
『アホやな!そんな大人数で固まってバッド振り回して…当てにくいやろ』
ムキになったメンバー同士のバッドが互いを邪魔して、動きが制限される。
その中でただ1人堂々と立つ
何か変えないと
何かこの状況を変えないと
絶対勝てない
そう思った時、さらに焦ってしまう音が聞こえた
バイクの音
それは烈火の車の後方を走ってたバイク達
『お、早いやん』
後ろの方で足止めしていたメンバー達はどうした?多くの人数を、あっちの後方のバイクの足止めに回したのに。
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