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「わかりました。おい、タオル持ってこい」
隊員は4人来てくれた。
2人が杏の身体をそっと持ち上げて担架に乗せる
「すみません、傷を押さえててあげてくれませんか?」
綺麗なタオルを渡されて止血に加わる。
真っ白なタオルを染める杏の血。
ようやく頭が追いついてきてしまった。
怖い
「大丈夫ですよ!必ず助けますから。あなたは彼女の名前を呼び続けてあげてください」
さぁ、手も握ってあげて!
そう言って隊員は杏の手と俺の手を繋がせた。
一気に現実に引き戻された。
杏が死んでしまうんじゃないかって。
言われた通り杏の名前を呼び続ける。
杏がいない世界なんて、考えられないんだ。
「救急車も入ってこれる処まで入ってきました。すぐ乗せれますからね」
「そっち持って!呼吸器つけて!」
てきぱきと目の前で応急処置が行われる
俺は何もすることができず、名前を呼ぶ以外できなかった。
「近くの病院まで向かいます」
水瀬やサトルはどうなったんだろう。外に出たのに何も見ていなかった。
俺は付き添っていいのかな。
後処理をみんなに任せていいのか?
今は杏が優先だ。
病院までの道中、杏の名前を呼び続けた。
どうか目を覚ましてくれますようにと。
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