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映理side
ずっと待っていたチャイムが鳴った。
今日は、直哉が帰ってくる日だった。
予定より早く帰ってきてくれて嬉しい。
お金は誰が払ったのか未だに分からないけれど。
どれ程この日を待ち望んでいたか。
私は走って、ドアを開ける。
「おかえりなさい」
久しぶりに会った直哉は、以前よりも痩せて細くなっていた。
「ご飯の用意が出来ているけど、どうする?」
直哉は靴を脱ぎながら、『先に風呂入りたいかな』と弱々しく笑った。
「そうかもしれないと思って、お風呂も入れるようにしたよ」
『…映理』
「何?」
直哉は私に近付き左頬に触れた。
『どうしたんだ?この傷』
「あ…これは」
この傷は、あの男達に襲われた時に出来た傷…。
「ちょっと転んでね。もう痛くないよ。それより早くお風呂に入って休んだ方が」
『あ、あぁ。入ってくる』
直哉の後ろ姿を見送った後、この傷はそんなに目立つのだろうか、と鏡を見た。
「うーん…あんまり目立たないと思うんだけどな」
そう言いながら、夕御飯の準備をした。
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