第1章 幕開け

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二人で部屋に戻ろうとすると、なにか言い争っている声が聞こえた。 『だから!!それはどうなるんだよ!!』 部屋に入ると、壁にもたれ掛かって一点を見つめている母以外、全員立ち上がっていた。 『俺達は貰う権利があるだろうが!!』 「…どうしたの!?お母さん」 『あぁ、依智花…皆、遺産の事をねぇ…一体なんだってお金お金ってさー』 「お母さん…。ちょっと!!今お金の話なんてしないで下さい!!今言われたって困るから!!」 周りの人達を睨んで言うと、皆私の方を向いて怒った顔をした。 でも、私は負けない。 お母さんは泣いているし、ここは私が言わなきゃ。 『あらぁ依智花ちゃんじゃない。貰える人は良いわよねぇ。しかも誠一さんは一人っ子だから貰える額も大きいわけで~』 『子どもは黙ってろよ!!』 『そうだ、そうだーー』
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