第1章 幕開け

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-------------------- 春一side 「…お母さん…?」 『……あら、春一?』 俺は寝たきりになっている母の横に座った。 姉貴が前に言ったとおりだ… 顔も体も痩せこけて…病気してるんじゃないかってくらい肌白くて… これじゃあ、危なくて目離せないよな。 「起きてるの?大丈夫?」 持ってきた水を差し出すと母は起き上がったので、背中に手を添えて支えた。 軽い…!!骨と皮だけなんじゃないかってくらい細い…。 俺は泣きそうになるのをぐっと堪えた。 『うん。…水ありがとう。…このままじゃいけないって分かっているんだけど…』 そう母は言い目を伏せた。 「何も急ぐことはないよ。大丈夫。俺も姉貴も側に居るから」 『ありがとう。少し休むわね』 「うん。また来るから」 『あ、春一っ』 仰向けになった母が俺の腕を掴んだ。 『しばらくは居てくれるの?』 縋っているように見える母の目は少し涙目だった。
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