第1章 幕開け

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3分毎の着信履歴を見れば誰だって緊急を要している事は分かる。 朝の10時頃からずっと3分おきに掛けて来ているのは全て私の母だった。 「もしもし?」 『あ、依智花(いちか)?あのねっ…お父さんが……うぅ…』 電話の向こうの母は泣いている様子だった。 嫌な予感がする。 「お父さんがどうしたの!?お母さん!?」 私がそう言った途端、『わぁああああ!!』と叫び声が聞こえた。 「え!?ちょっと、お母さん!?」 『姉貴?今、母さん半狂乱になってるんだ』 弟の春一だ。落ち着いた口調だったが、涙声だった。 「どうしたの?」 『お父さんが…事故で亡くなった』 「え……」 思わず言葉に詰まった。 うそ、だよね?
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