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「うん、居るよ」
俺は、母の手を握った。
少しだけ温かいことに安心した。
『良かった。じゃあ、また後でね』
「うん」
ドアを閉めた後、俺は声を殺して泣いた。
涙を止めようと思っても止まってくれない。
情けなかった…自分が無力な事に。
姉貴が前に言っていた。
『私、何もしてあげられない』
電話で泣きながら言った言葉。
俺は、「大丈夫だよ。お母さんの側に居てあげるだけでも。俺、姉貴の事信頼してるから」ってあの時言ったんだ…。
何が「大丈夫」だ。
姉貴は母のあの姿を毎日見て心を痛めていたというのに…
俺は全部任せっきりで…。
これからは、姉貴の負担にならないよう俺も何かしなきゃな…。
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