第1章 幕開け

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朝起きると、台所の方で音がした。 「…春一?」 そう問いかけると、春一はゆっくり振り向いた。 「ご飯作ってくれてるの?」 春一は、私のエプロンを付けてお皿を持っている。 『うん』 「私が作るのに」 そう言うと、私は春一の方へ近付いた。 卵焼きの匂いがする。 『お母さん…今日も食べないかな』 「うん…どうだろう」 寝室の方へ行くと、まだ母は眠っていた。 居間に戻ると、春一は皿に盛りつけたおかずをお弁当箱に詰めている。 『これが姉貴の分』 と渡されたのは、私が高校の時に使っていたお弁当箱だった。
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