第1章 幕開け

28/32
前へ
/95ページ
次へ
『いらっしゃいませ~』 月に一度は来ているこの喫茶店は私のお気に入りの場所の一つで、ここは「こちらへどうぞ」などの声掛けは無く、自分の好きな場所に座れるから好きだ。 まだ待ち合わせの時間には早かったが、家に居てもすることがないので(春一が今日は家に居てくれる)早めに来てしまったのだ。 「あ、紅茶を1つお願いします」 店員に注文した後、ケータイを出し今日会う友達にメールをした。 すると、すぐに着信。 「もしもし?」 店内は静かなので、小さな声で電話に出る。 『もしもし、依智花…もう居るの?私まだ全然用意していないのよ』 「大丈夫。ちゃんと待ってるから。ゆっくり来ていいよ」 『ありがとう。すぐ用意する』 「気をつけてね。待ってるよ」 『はぁい』 そう返事が聞こえた後、私は電話を切った。 待ち合わせ時間に遅れてくるのは高校の時から変わっていないので、私は気にならない。 それよりも、私のシンプルな服装(今日は紺色のチェック柄のワンピース)に比べて、お姫様系の服装(フリルとかリボンとか付いてる服。私は着れない)を好んで着ていることの方が気になる。 ケータイの時計を見ると15時31分。 来るのはきっと1時間後…。
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加