第1章 幕開け

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「いいなぁ」 羨ましかった。本当に大好きな人と結ばれた梨代那は。 『いいなぁって、依智花だって相手が居るじゃない。付き合って何年だっけ?』 「えっと、19歳の時からだから、4年くらいになる」 『えー長いじゃん。結婚しないの?』 その時、ちょうど梨代那のミルクティーが運ばれてきた。 店員に『ありがとうございます』とお礼を言い、ミルクティーを一口飲んだ梨代那をずっと見ていた。 …結婚? 『え、依智花どうしたの?私、何かまずいこと言った?』 「ううん。違うよ!!…結婚はしないと思うの」 『何で何で!?』 梨代那は、付け睫毛が真上を向くくらいに目を見開いて聞いてきた。 何でって言われても…。 「うーん…何となくかな。先の事は分からないよ」 『そっか…ね、そういえばさ…いや、聞かない方がいいか。依智花、思い出しちゃうもんね』 「あ、武本くんの事?」
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