第1章 幕開け

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武本くんが好きだってことは梨代那は知っている。 高校の時、よく相談していたから。 『そう…』 「ううん、平気だよ」 武本くんの話が出来るのは梨代那と数少ない友人だけだから嬉しい…。 でも、出来るだけ感情を出さないように気を付けようと思った。 『複雑だよね。昔好きだった人なのに』 「うん。でも、もう会うことないし」 『思い出したりはした?高校の時の感情』 「…まさか。もう、忘れたよ」 嘘だ。 全く忘れてなんかいない。 『だよね。変なこと聞いてごめん』 まだ、私はこんなにも武本くんの事ばかり思っている。 「ううん。じゃあ、買い物行こうかっ」 でも、この気持ちは絶対誰にも言わない。 …言えない。
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