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あの事件から3ヶ月が過ぎた。
冬の季節は寒いから嫌いだ。今は体だけじゃなくて心も寒いから…。
春一は、あれから何度か顔を見せに来てくれる。
帰り際、春一が言った。
『これからも時々泊まりに来るよ』
「そんな、無理しないで。しーちゃんだって春一が居ないと淋しいだろうし」
しーちゃんとは、この3ヶ月の間で1度だけ会った。春一の彼女。
この家に来たのだ。「羊羮」を持って挨拶に来てくれたのだった。
小さくて可愛らしくて、しっかりした子だった。
『汐里は、ちゃんと分かってくれているから。それより、心配なんだよ』
「お母さんの事?」
『姉貴の事だよ』
「私?」と笑って聞き返した。
何で…私は春一に少しも弱さを見せていない。
『姉貴、何か無理しているように見える』
「大丈夫だよ?私」
『何でそんな強がるんだよ。俺は頼りないかもしれないけどさ』
「私は自分の力で立ち直りたいだけなのよ」
そうなのだ。
実際、私の気持ちなんて誰も理解してくれない…。
100%皆が反対する。
『姉貴はすごいな。一人で何でもしようとする』
「春一だって偉いじゃない。しーちゃんと一緒に暮らしているんだもの。もう、大人よ」
春一は『じゃあ、また連絡する』と言って帰って行った。
『何か無理しているように見える』
その言葉が、ずっと心に残っている…。
私は本当に大丈夫なのに。
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