第2章 別離話

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「あ、春一、お母さんの様子はどう?」 『お疲れ、姉貴。おかゆ少しだけど食べたよ』 「良かった。少しでもいいんだ。それよりごめんね」 『ううん。ちゃんと雄一さんと話した方が良いよ』 「ありがとう…帰る時連絡するから」 仕事が終わった後、春一に電話をかけた。 今日は私の付き合っている彼・雄一と会う日だった。 母は少しのおかゆなら食べられるようになった。 良かった。 そして、母が先月言ったのだ。 『依智花。働きに出てほしいのよ』 母は、『申し訳ないんだけど、家賃とか光熱費がね…』と付け足して謝った。 その言葉で私は今仕事に来ている。 ちょうど今日、春一が帰ってきてくれる日だったので、留守番を頼んだのだった。
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